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寄与分

  • 文責:弁護士 上田佳孝
  • 最終更新日:2023年11月13日

1 寄与分とは

相続人の中に、被相続人の介護等を行い、この負担が非常に重く、これにより相続財産が減るのを防ぐことができたなどという事情があり、その介護等によって、被相続人の財産の維持・増加に特別な貢献をしたといえる人がいる場合、その相続人は遺産分割において法定相続分を超える財産を取得できることとしている制度を、寄与分といいます。

2 寄与分が認められるために

遺産相続の場面において、実務上、寄与分の扱いは簡単ではありません。

寄与分が認められるためには、被相続人の財産の維持または増加について、「特別な寄与」があったといえることが必要となります。

一般的には、介護をしてきたのだから、その分遺産相続で配慮されるべきだという主張をよく見かけます。

しかし、法律上は、特別の寄与といえるためには、次のような要件が考慮されるとされています。

・無償であること、または無償に近いこと

・被相続人の親族として通常期待される程度(扶養の義務等)を超える行為であること

・介護等の行為に専念していたこと

・貢献した期間が長いこと

例えば、要介護状態だった被相続人の生活を支えるため、仕事を辞め、そのまま仕事をせずに介護に専念していたような場合などに、寄与分が認められることがあります。

また、被相続人に対し金銭的に援助していた場合などにも、寄与分が認められることがあります。

3 寄与分が認められる場合の遺産分割

寄与分が認められる場合には、相続人は、これを考慮して財産の分け方を決めます。

実務では、例えば、外部の専門のヘルパーの方を雇ったのであればかかったであろう日当相当額を、寄与分として認める場合などがあります。

もっとも、寄与分を主張する際に、もっとも難しいことは、裏付けとなる資料の用意です。

他の相続人に対して寄与分のことを話す際ももちろんですが、遺産分割調停・審判に発展した際には、第三者である調停委員や裁判官の立場から客観的に寄与分があったことを認識できる状態にしなければなりません。

寄与分の裏付けとなる資料の用意は簡単ではありませんが、介護記録や、介護のため購入した生活用品等のレシート、介護状況の写真などを日ごろから整理しておくと役に立つ可能性があります。

4 寄与分の主張の期限

令和5年4月1日以降は、相続開始の日(被相続人がお亡くなりになられた日)から10年を経過してしまうと、寄与分の主張をすることができなくなりましたので、注意が必要です。

ただし、相続開始の日から10年以内に遺産分割調停を申し立てている場合には、主張可能です。

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